DRAGON QUEST V 北米版プレイ日記(13)
前回の続きを詳細に書いていきます。
「God」と「the Goddess」について、です。
少々ネタばれになりますが、
この北米版「DRAGON QUEST V」内において、
「God(神)」という単語は一切出てきません。
今後も、ゲーム内において、いついかなる場面や些細な名称に至るまでも、
徹底的に排除されています。
実はここに、日本とアメリカの、
というか、キリスト教圏との違いが如実に出ています。
日本人にとって「神」とは、「いろんな神様」を指します。
日本の神道だとか、八百万(やおよろず)の神々だとかに限定されず、
キリスト教もイスラム教もヒンドゥー教も、その他数多のどんな宗教、神話の神様も、
全部一概に「神様」と言います。
一応「仏教の仏様」は「神様」と区別されていますが、
一般的に日本では、信仰対象としては、「仏様」も「神様」も同列ひとくくりです。
(特定の信仰を持つ信徒の方々の考え方や、各宗教の宗派での考え方の違いなどの細かいところは除外します。
あくまで、現在の一般的な多くの日本人の考え方と言う意味での定義です。)
でも、ご存知の通り、アメリカ人の大半が敬虔なキリスト教徒です。
キリスト教において、「God(神)」という単語は、
キリスト教の唯一神のことであり、
それ以外には「神(God)」は存在しません。
この感覚が、多くのキリスト教圏の人々の感覚、認識です。
ここで、北米版DQVに戻りますが、
神父さんが「God」と言ったり、
ほかのキャラが「God」と言ったりすると、
アメリカ人の多くが、
このDQVの世界にも「キリスト教」が存在し、
現実世界のアメリカ同様「キリスト教」の「God」が信仰されている世界だと認識します。
そして、キリスト教っぽい外観、内装の施設に、
「priest(神父)」や「nun(修道女、尼僧)」らしき服装のキャラがいて、
ここは「church(教会)」だよ、と発言していれば、
これはキリスト教の教会なんだ、と思うわけです。
ドラクエは西洋風の世界観なので、
こういったキリスト教的教会が登場したとしても、
日本人は雰囲気作りのための演出ぐらいにしかとらえませんし、
多くの人はキリスト教の敬虔な信者でもなければ、
言い方は悪いですが、キリスト教に思い入れもありません。
でも、アメリカではそうは行きません。
所詮は、キリスト教に疎い日本人が考えた、なんとなくキリスト教です(言葉が悪くてすみません^^;)。
熱心なクリスチャンから見れば、違和感ありありの事柄が、
おそらく事細かに存在するはずです。
(私は熱心なクリスチャンでもなければ、キリスト教にそれほど造詣が深くもありませんので、
その辺はよくわかりません^^;)。
もしかしたら、
「キリスト教と神を冒涜している!」
と捉えられてしまうかもしれない表現もあるのかもしれません。
また、アメリカには当然いろんな宗派や考え方のキリスト教系団体が数多くあり、
ご存知の通り、訴訟社会です。
些細なことでも、気軽に(笑)裁判沙汰になる社会です^^;。
むこうでは宗教はかなり繊細なテーマですから、
こういったトラブルの元は徹底的に改変排除しないと、
何が起こるかわからないので、
「the Goddess(女神)」信仰に変えたのでしょう。
「God」から「the Goddess」に変えると、
全てがオールオッケーです(笑)
当然キリスト教に女神様はいませんから、
キリスト教圏の人々にとって、「the Goddess」は異教の信仰対象なわけです。
つまり、DQVの世界では「女神を信仰している宗教」が信仰されている、
という設定なんだな、と思ってくれるわけです。
そうなれば、宗教的表現にどんなことをしても、
キリスト教を冒涜することにはならず、
実に平和的に世界観が守られるのです(笑)。
良かった良かった(笑)
余談ですが、
キリスト教の唯一神「God」には定冠詞「the」がつきません。
これは、一般名詞なのではなく、
固有名詞(人名や国名などと同じ)であることを表しています。
「the God」となると、一般名詞となり、
日本の「神様」の感覚に近くなります(たくさんいる神々の中の内の神というニュアンス)。
こうすれば、キリスト教の唯一神「God」以外の神様となるのですが、
やはり紛らわしいので、性別も変えたほうが良かったんでしょうね。
(念のため書いておきますが、キリスト教の唯一神は「男性」です。
「父なる神」というフレーズは聞いたことがあるかもしれません。)
日本では「無神論者」というと、
「特定の宗教を信仰していない人、神様を信じていない人」という意味ですが、
英語での「atheist(無神論者)」には、上記の意味のほかに、
「キリスト教以外の宗教を信仰する人」という意味もあります。
キリスト教徒にとって、イスラム教徒も仏教徒も、そのほかの宗教の信者も、
全て「無神論者(キリスト教の唯一神を信じない人)」になります。
(もちろんそう考えないクリスチャンの方々もいるでしょうけど。)
そのくらい、日本人とキリスト教圏の人々との宗教観は違います。
さらなる余談ですが、前作4やそれ以前の作品である、
「DRAGON WARRIOR(北米版ファミコンのドラクエ)」では、
同施設は「church(教会)」ですらありませんでした。
「healing house(癒しの館)」であり、
神父さんは「house keeper(館主)」、シスターは「nurse(看護士)」という名前で、
どちらかというと病院みたいな扱いでした(笑)。
いずれ、「DRAGON WARRIOR」のプレイ日記をするかもしれませんので、
そのときはまた触れたいと思います(笑)。
日本人からすれば「神」から「女神」に変えただけという、
些細に見える変更点ですが、
他文化の異なる宗教観や、それに基づく考え方の違いが垣間見れて、
非常に面白いです。
未だゲームは始まったばかりですけどね^^;
「God」と「the Goddess」について、です。
少々ネタばれになりますが、
この北米版「DRAGON QUEST V」内において、
「God(神)」という単語は一切出てきません。
今後も、ゲーム内において、いついかなる場面や些細な名称に至るまでも、
徹底的に排除されています。
実はここに、日本とアメリカの、
というか、キリスト教圏との違いが如実に出ています。
日本人にとって「神」とは、「いろんな神様」を指します。
日本の神道だとか、八百万(やおよろず)の神々だとかに限定されず、
キリスト教もイスラム教もヒンドゥー教も、その他数多のどんな宗教、神話の神様も、
全部一概に「神様」と言います。
一応「仏教の仏様」は「神様」と区別されていますが、
一般的に日本では、信仰対象としては、「仏様」も「神様」も同列ひとくくりです。
(特定の信仰を持つ信徒の方々の考え方や、各宗教の宗派での考え方の違いなどの細かいところは除外します。
あくまで、現在の一般的な多くの日本人の考え方と言う意味での定義です。)
でも、ご存知の通り、アメリカ人の大半が敬虔なキリスト教徒です。
キリスト教において、「God(神)」という単語は、
キリスト教の唯一神のことであり、
それ以外には「神(God)」は存在しません。
この感覚が、多くのキリスト教圏の人々の感覚、認識です。
ここで、北米版DQVに戻りますが、
神父さんが「God」と言ったり、
ほかのキャラが「God」と言ったりすると、
アメリカ人の多くが、
このDQVの世界にも「キリスト教」が存在し、
現実世界のアメリカ同様「キリスト教」の「God」が信仰されている世界だと認識します。
そして、キリスト教っぽい外観、内装の施設に、
「priest(神父)」や「nun(修道女、尼僧)」らしき服装のキャラがいて、
ここは「church(教会)」だよ、と発言していれば、
これはキリスト教の教会なんだ、と思うわけです。
ドラクエは西洋風の世界観なので、
こういったキリスト教的教会が登場したとしても、
日本人は雰囲気作りのための演出ぐらいにしかとらえませんし、
多くの人はキリスト教の敬虔な信者でもなければ、
言い方は悪いですが、キリスト教に思い入れもありません。
でも、アメリカではそうは行きません。
所詮は、キリスト教に疎い日本人が考えた、なんとなくキリスト教です(言葉が悪くてすみません^^;)。
熱心なクリスチャンから見れば、違和感ありありの事柄が、
おそらく事細かに存在するはずです。
(私は熱心なクリスチャンでもなければ、キリスト教にそれほど造詣が深くもありませんので、
その辺はよくわかりません^^;)。
もしかしたら、
「キリスト教と神を冒涜している!」
と捉えられてしまうかもしれない表現もあるのかもしれません。
また、アメリカには当然いろんな宗派や考え方のキリスト教系団体が数多くあり、
ご存知の通り、訴訟社会です。
些細なことでも、気軽に(笑)裁判沙汰になる社会です^^;。
むこうでは宗教はかなり繊細なテーマですから、
こういったトラブルの元は徹底的に改変排除しないと、
何が起こるかわからないので、
「the Goddess(女神)」信仰に変えたのでしょう。
「God」から「the Goddess」に変えると、
全てがオールオッケーです(笑)
当然キリスト教に女神様はいませんから、
キリスト教圏の人々にとって、「the Goddess」は異教の信仰対象なわけです。
つまり、DQVの世界では「女神を信仰している宗教」が信仰されている、
という設定なんだな、と思ってくれるわけです。
そうなれば、宗教的表現にどんなことをしても、
キリスト教を冒涜することにはならず、
実に平和的に世界観が守られるのです(笑)。
良かった良かった(笑)
余談ですが、
キリスト教の唯一神「God」には定冠詞「the」がつきません。
これは、一般名詞なのではなく、
固有名詞(人名や国名などと同じ)であることを表しています。
「the God」となると、一般名詞となり、
日本の「神様」の感覚に近くなります(たくさんいる神々の中の内の神というニュアンス)。
こうすれば、キリスト教の唯一神「God」以外の神様となるのですが、
やはり紛らわしいので、性別も変えたほうが良かったんでしょうね。
(念のため書いておきますが、キリスト教の唯一神は「男性」です。
「父なる神」というフレーズは聞いたことがあるかもしれません。)
日本では「無神論者」というと、
「特定の宗教を信仰していない人、神様を信じていない人」という意味ですが、
英語での「atheist(無神論者)」には、上記の意味のほかに、
「キリスト教以外の宗教を信仰する人」という意味もあります。
キリスト教徒にとって、イスラム教徒も仏教徒も、そのほかの宗教の信者も、
全て「無神論者(キリスト教の唯一神を信じない人)」になります。
(もちろんそう考えないクリスチャンの方々もいるでしょうけど。)
そのくらい、日本人とキリスト教圏の人々との宗教観は違います。
さらなる余談ですが、前作4やそれ以前の作品である、
「DRAGON WARRIOR(北米版ファミコンのドラクエ)」では、
同施設は「church(教会)」ですらありませんでした。
「healing house(癒しの館)」であり、
神父さんは「house keeper(館主)」、シスターは「nurse(看護士)」という名前で、
どちらかというと病院みたいな扱いでした(笑)。
いずれ、「DRAGON WARRIOR」のプレイ日記をするかもしれませんので、
そのときはまた触れたいと思います(笑)。
日本人からすれば「神」から「女神」に変えただけという、
些細に見える変更点ですが、
他文化の異なる宗教観や、それに基づく考え方の違いが垣間見れて、
非常に面白いです。
未だゲームは始まったばかりですけどね^^;
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